過去と、今と、未来の狭間で【進撃の巨人 エルヴィン 前編】
第66章 戦う理由
リヴァイとミケはそれぞれの皿に半分ずつパスタを取り分け、
エルヴィンの向かいの席に座り食べ始める。
「美味しいな・・・。エルヴィンが独り占めしたくなる気持ちが
わかる気がする」
「そうだろう、ミケ。ナナシの料理を私は独占したいんだ」
「得意げに言うんじゃねぇよ、このケチ野郎。
やっぱてめぇは心が狭いな」
モグモグと咀嚼しながら話すミケ、エルヴィン、リヴァイは、
ちらりと調理中のナナシに目を向けた。
「・・・で?仲直りは出来たのか?」
「あぁ、許してくれたよ。今日一日気が気じゃなかったが・・・
ナナシはこの世に舞い降りた天使の如く、慈愛に満ちた心で
私を許してくれたんだ。絶対近い内に私の嫁にしてみせる」
うっとりと語るエルヴィンにミケとリヴァイは
「そりゃ、肉を持ってったから許して貰えただけだろ」と
呆れながら言ってやったが、エルヴィンは二人の言葉など聞いておらず
ナナシの姿をジッと見つめたままだ。
ナナシに関すると本当に質が悪くなるなと二人は肩を落としながら、
パスタを頬張った。
べた惚れのエルヴィンからナナシを奪ったら
どういう反応をするのだろうかという考えが頭を掠めたが、
何となく考えるのが恐くなりやめる。
それに最近のナナシは、エルヴィンに対して
前より柔らかくなったような気がしていた。
ツンケンしていたのが大分寛容になってきたと思う。