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過去と、今と、未来の狭間で【進撃の巨人 エルヴィン 前編】

第66章 戦う理由







「君は本当に料理が上手なんだな」

「いや・・・私は他の人間より多くの材料や調味料を
調達出来るから美味しいものが作れるだけで大した腕ではない」

「でも美味しかったのは事実だ。
私は君の作る料理がとても大好きだよ。
いくらでも食べられてしまうくらいに・・・」

「・・・・・・・・・」


こっ恥ずかしい事をさらりと言うエルヴィンにナナシの顔が熱くなる。

エルヴィンにとっては挨拶するくらい軽く言っているのかもしれないが、
料理を褒めて貰うのは割と嬉しいものなのだ。

しかも最近エルヴィンと対峙していると、
時々感情が乱れてしまうことが多々ある。



これはマズイとエルヴィンの瞳から逃れるように俯きながら、
パスタの皿を彼の前にスライドさせ席を立った。


「それは全部食べて良い。腹が減っておるだろう?温かい内に食え」

「え・・・?しかし、これは君の分じゃ・・・?」

「まだ材料があるからもう一皿作る。
お主はそれを食ってさっさと休め。疲れておるだろう?」


返事を聞く前に調理に取りかかったナナシの後ろ姿を見つめながら
エルヴィンは破顔し


「ナナシは優しいな・・・本当にありがとう」


と言ってパスタを食し始めた。




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