過去と、今と、未来の狭間で【進撃の巨人 エルヴィン 前編】
第64章 劇物
「このままじゃミケ分隊長は廃人になってしまいますっ!
団長はハンジ分隊長の性欲を舐めすぎですっ!
性欲を誘発させる劇物なんかにハンジさんを
近づけさせないで下さい!
ハンジさんは普段ほとんど性欲がありませんが、
一度スイッチが入ると相手がトラウマになるくらい
精気を絞り尽くすんです!自分は今までハンジさんに告白して
一夜を共にした相手から翌日泣きつかれて、
根気よくカウンセリングをしていたのに、
これ以上被害者を増やさないで下さい!」
モブリットが語った新事実にエルヴィン達は絶句する。
そこまで凄絶な性欲をハンジが持っていると知らなかった二人は、
どう言って良いかわからず視線を彷徨わせた。
「・・・・おまえ、よくそんな女が好きだな」
しみじみ言ったリヴァイにモブリットは仄暗い目をしながら
「自分でもそう思います」と言った。
「正直・・・自分がハンジさんに告白するのを躊躇っているのも
そこなんです。そういう仲にはなりたいんですけど、
夜を共にしたら自分が使い物にならなく自信があるので・・・・。
そうしたら、誰がハンジさんを止めるのかなって思ったり・・・・」
ははは、と乾いた声で笑うモブリットにエルヴィン達は心底同情する。
本当にいつもあんな『特別危険奇行種』の相手をしてくれてありがとう、モブリット・・・・。
君の存在は調査兵団では無くてはならないものだ。
お願いだから暫くの間、告白しないで清い関係のままいてほしい。
モブリットが潰れてしまったら、きっと誰もハンジの暴走を
止められないだろう。
その代わり、ハンジの給料を差っ引いて
モブリットの給料に上乗せしておいてあげるから、
マジで許してください。