過去と、今と、未来の狭間で【進撃の巨人 エルヴィン 前編】
第64章 劇物
―――こいつ!自分と同じこと考えてやがるっ!!
皮肉にも生死の危険を分かち合ってきた二人だからこそ
互いの考えを読むことが出来たのかもしれない。
それを認識した瞬間、二人は執務室を飛び出した。
目標はナナシの部屋である。
走ることに関しては足の長さ的に
リーチのあるエルヴィンが優勢だったが、
身軽で人類最強の男は窓から外へ飛び出し
コースをショートカットした。
四階からダイブしたにも関わらず、
木を伝って器用に地面に降り立つ姿に
エルヴィンは焦燥を覚える。
筋骨隆々のパワーファイターであるエルヴィンには出来ない芸当だ。
仕方なくエルヴィンは脳内で最短距離の地図を思い描き、
廊下を疾走した。