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過去と、今と、未来の狭間で【進撃の巨人 エルヴィン 前編】

第9章 欲しい・・・




やがて駐屯兵団の建物に着き、
四人はそのままピクシスのいる執務室へと向かった。


扉からナナシまで入ってきた事にピクシスは片眉を上げたが、
すぐに状況を察したようで微苦笑を浮かべながらエルヴィンに
応接用のソファを勧め自身も向かいに座った。


ミケ、アンカ、ナナシは座ることはなく、
並んでソファの横に立ち二人のやりとりを見守っている。


「この度は調査兵団への物資提供ありがとうございます。
就きましては、提供して頂ける物資の詳細についてお伺いを・・・」

「堅い挨拶はいらんぞ。取り敢えず、そちらの言い分を聞こうか」


始めは互いの立場の話から入り、
双方にとっての言い分を語り合い書類と照らし合わせる作業を行っていた。






―――1時間後

話し合いの結果、それなりの物資を受け取る事になった調査兵団団長と、
これからの協力体制や巨人についての情報提供の約束を取り付けた
駐屯兵団の司令は笑顔で握手を交わしていた。

どちらも一歩も引かない腹の探り合いの終わりに側近達は心の中で安堵の息を吐く。
・・・が、


「・・・ところで、銀髪の彼は駐屯兵団の所属で無いと伺ったのですが」

「今頃、それを聞くか…エルヴィン団長」


ピクシスが彼をこの話し合いに同席させていたのだから
信用に足る人物だという確証は得ていた。

だが、それと彼の身元は別問題である。

ピクシスが秘密裏に彼を登用しているのであれば
弱みとして色々と交渉事に使えるだろうし、
弱みにならなくても情報が得られるのであれば
エルヴィンとしてはどちらでも良かった。


アンカがピクシスへ物言いたげな視線を向けているのに気づいたが、
銀髪の本人はつまらなそうに正面を向いているだけで動揺は見られない。

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