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過去と、今と、未来の狭間で【進撃の巨人 エルヴィン 前編】

第60章 私が取りたい手








「私達・・・どこへ連れて行かれるのでしょうか?」

「あいつらは私達を『売る』って言っていたわ。
人身売買が目的なら地下街に向かっているのかもしれない」


ゴトゴト揺れる荷馬車の上でニファとペトラの会話を聞きながら、
ナナシは襲撃犯の動向を探っていた。

荷馬車には外から何を運んでいるかわからないように
布が掛けられており、内側からも外の様子が窺えないように
なっている。

攫われた人質はナナシ達を除くと五人で、
まだ少女と言っても良いような年齢の娘が選ばれていた。

売るなら若い方が買い手が付き易いし、
抵抗されてもすぐに押さえ込める人選と人数に
襲撃犯達は随分と手馴れているなと分析する。


襲撃者は全部で十三人程だったが、
人質を乗せたこの荷馬車を逃がすためか三組に分かれたので、
今いるのは馬の手綱を操る男が一名、
追手がいないか後方で見張る男が二名、
人質を見張る男が一名の計四人だ。


人質を見張る男はベッカーに叫んでいた男で、
ベッカーの娘を憎悪の眼差しで見つめたまま銃口を向けている。


暫くすると男は娘に、娘の父親がどのような汚いやり口をしていて、
どんなに非道な男か語り始めた。

他の人質達もそれを恐怖に震えながら聞いている。




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