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過去と、今と、未来の狭間で【進撃の巨人 エルヴィン 前編】

第59章 兵士として、男として・・・







・・・という事は個人的な怨恨の襲撃なのか?と
エルヴィンは名指しされたベッカー商会の男を盗み見る。

会場にいた多くの者が、ブルブルと震えている小太りな男を
注視した。


ベッカーはあたふたしながら周囲で酔い潰れている兵士に
「起きて自分を守れ!」と喚き散らしていたが、
誰一人彼を助けるものはいない。


エルヴィンの記憶が確かなら、
えげつないやり方で商売敵を潰しまくり、
他者をゴミのように扱っているという事から彼に人望は無かった。

襲撃者がまた威嚇するように銃を発砲すると、
ベッカーは「ひぃぃぃ!」と無様な悲鳴を上げ、
尻餅を着いた。


服がはち切れそうなくらい膨らんだ腹が
その衝撃でブヨンと揺れるのを横目で見ながら、
エルヴィンは彼を助けた所で寄付も望めないなと冷徹に分析する。

あれは例えこちらが命懸けで助けても、「当たり前だ」と
ふんぞり返るタイプだ。

それでも出資してもらえるなら助ける所だが、
その場の口約束など相手がしらばっくれるに決っている。





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