過去と、今と、未来の狭間で【進撃の巨人 エルヴィン 前編】
第59章 兵士として、男として・・・
エルヴィンは出資者達を背に庇うように身体をずらし、
リヴァイ達に指示しておいた兵士の配置を目で確かめる。
予想していたが思ったより使える兵士が少なかったようで、
不完全な兵の配置に犠牲者が出るかもしれないと考えたが
やれる所までやるしかないと腹を括った。
憲兵など元から戦力外だと思っていたし、
襲撃者が持っているライフルに憲兵団のマークがついていた事から
すぐに横流し品だと知れ、足を引っ張るだけは能があるなと
心中で皮肉る。
「おい、ベッカー!おまえがメレンドルフ卿と結託して、
うちの店を潰したことはわかってんだぞ!
大人しく出て来い!」
突然襲撃者の一人が声高に叫んだ。
・・・ベッカー?
最近王宮に出入りを許された羽振りの良い商会の名前だ。
メレンドルフ卿はベッカーの長女が嫁いだ貴族の名前で
今夜ここにはいないが、あまり良い噂を耳にしない事は
知っていた。