• テキストサイズ

過去と、今と、未来の狭間で【進撃の巨人 エルヴィン 前編】

第58章 お人好しの生贄








おかしい・・・自分は何をしに懇親会に顔を出したんだっけ?
と原点に還っていると、目の前に飲み物が差し出された。


給仕からナナシ用に飲み物を貰ったらしく、
柔らかい笑みを顔に乗せたエルヴィンが
「喉が乾いたかい?」と声を掛けてきた。


飲み物より食べ物・・・と言いたかったが、
他人の目があったため大人しく飲み物を受け取り口に含んでから、
恨めしげにエルヴィンをもう一度見る。


これ・・・お酒じゃなくてジュースじゃん!


この男は自分を子供か何かかと思っているのだろうか?

食べ物はおろかお酒も飲ませてもらえない現状に
ナナシは不満を募らせるが、エルヴィンはまた会話に戻ってしまったので
文句も言えない。

一応ナナシも普段の無表情を封印して愛想の良い笑顔を浮かべていたが、
心中の疲労感は半端無かった。


誰か助けてくれないかな~と周囲に視線を投げた所で、
バッチリ目が合った人物がいた。

向こうも自分と目が合った事に気づいて「あ」と口を開けている。



よっしゃ!と思ってエルヴィンに「あの方に挨拶して来ます」
と告げると、一瞬鬼のような形相になったような気がしたが、
すぐ爽やかな笑顔を作り「行っておいで」と送り出してくれた。

流石のエルヴィンでも出資者の前で本性は晒せないらしい。





/ 1001ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp