過去と、今と、未来の狭間で【進撃の巨人 エルヴィン 前編】
第58章 お人好しの生贄
「着替えは済んだのかい?ちゃんと濡れた下着は取り替えた?」
さらっとセクハラ発言をするエルヴィンに
三人は呆れた視線を向けたが、当の本人は全く意に介さない。
「そんな事、お主に関係無かろう?というか、触るな」
「関係あるさ。君は私の婚約者だ。お腹が冷えて風邪を引いたら
大変だからね」
ぐいぐい迫ってくるエルヴィンに退く様子は見られず、
これはちゃんと答えないといつまでも食いつかれるパターンだとわかった。
「・・・・・・着替えたから・・・・問題ない」
「それは私の選んだ下着を・・・っ!?」
「いや、私が用意しておいた予備を使った」
一瞬喜んだ表情をしたエルヴィンだったが、
すぐに返されたナナシの言葉に明らかな落胆を見せる。
つくづく変態だなと思ったナナシだったが、
短期間ながら濃密な変態思考(と行動)を向けられていたせいで
大分麻痺してきてしまっていた。
むしろ変態じゃなかった時間の方が少ないかもしれない、
とまで考えて振り返ってみたら洒落にならないくらい
虚しくなったので、早々にその考えは放棄する。