過去と、今と、未来の狭間で【進撃の巨人 エルヴィン 前編】
第57章 修羅場
「俺達の目を盗んで消えた挙句、わざわざ危険を犯して
窓から部屋へ入ってきたのは何故だ?
普通にドアから入れば良いものを、それが出来ないような
後ろ暗いナニかをしようとしていたんじゃないのか?」
明らかに強姦目当てで忍び込んできたエルヴィンの首を締め上げて
殴りかかろうとした瞬間、ミケの腕にしがみついたナナシが
それを止めた。
「ミケ!此奴の取り柄は顔だけなのだ!此奴から顔を取ったら
何も残らん!だから殴るなら顔ではなく、
じわじわと苦しませる事が出来る腹を狙えっ!」
「・・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・」
・・・・それは・・・あんまりだ、ナナシ。
殺気立っていたミケもナナシの言葉で少し冷静になった。
顔だけが取り柄と言われてしまったエルヴィンもショックの余り
言葉を失っていたようだが、ミケはエルヴィンの首根っこを掴むと
廊下へ歩き出した。
「わかった。おまえの言う通り顔は止めて腹にしておこう」
「ま、待て!ミケ!私はまだ挨拶回りをして酒や食べ物を
口にしなければならないんだ!おまえの拳を腹に食らったら、
今日はもう何も口に出来なくなる」
「そうか、それは災難だな。俺より強姦に近い事をやったんだ。
当然の報いだろう?」
ナナシを部屋に残してエルヴィンとミケが部屋から出て行ったので、
ナナシは身支度を整え始めた。