過去と、今と、未来の狭間で【進撃の巨人 エルヴィン 前編】
第55章 悪質
リヴァイも青年シェフからタオルを受け取り
ミケと同じようにナナシの背中へ回ると、眉を寄せる。
「こりゃ下着まで濡れてんじゃねぇのか?」
「・・・・・まぁな。だが少しすれば乾くだろう。
染みにはなるだろうが」
チッとリヴァイが舌打ちすると、転がった男が
何やら喚きだしたので三人はそちらを見遣った。
「おい!こんな事してタダで済むと思うなよっ!
俺は憲兵団の隊長だ!貧乏兵団が憲兵団に喧嘩を売って
良いと思ってんのか!?」
相当腕が痛いのか、腕を抑えながら喚く男の逆ギレに
ミケとリヴァイが立ちはだかると、威圧感に圧倒された男は
「ひっ!」と声を上げ数歩後ろに下がる。
後退りした先でドンと誰かにぶつかり後ろを振り返ると、
その瞬間男から血の気が引いた。
「ほう?タダで済むと思うな・・・とは具体的に
どうするつもりか尋ねても良いだろうか?」
そこにいたのはエルヴィンで、かなりの怒気を含んだ眼差しで
男を見据えていた。