過去と、今と、未来の狭間で【進撃の巨人 エルヴィン 前編】
第51章 純情
翌日、エルヴィンが婚約者としてどうやってナナシを連れて行くかを
考えながら仕事をしていると、執務室にモブリットがやってきた。
何の用事かと思って視線をやると、モブリットは少しの間
口を開くのを躊躇っていたようだったが、
エルヴィンを真っ直ぐ見据えた後、勢い良く頭を下げた。
「団長にお願いがありますっ!前日にこんな事を申し上げるのは
非常識だと重々承知していますが、明日の懇親会では
自分をハンジさんと行かせて下さい!」
突然言われた言葉にエルヴィンは一瞬反応が遅れる。
・・・つまり、ハンジとモブリットをペアとして
出席させて欲しいという事だ。
必然的にエルヴィンは他の女性を探すか、一人で行く事となる。
別に誰かとペアで行く事が義務付けられている訳ではないが、
調査兵団の団長が女性も連れず参加するのは体裁的に
よろしいことではない。
常識のあるモブリットもそんな事くらいわかっているはずだが、
彼の真剣さから冗談では無いのだというのは伝わってくる。
「何故突然そんな事を?」
まずは理由を聞いてからだと判断したエルヴィンが
モブリットに尋ねると、彼は気まずそうにその理由について語った。