過去と、今と、未来の狭間で【進撃の巨人 エルヴィン 前編】
第49章 男たちの戦い
えげつねぇ・・・っ!!
これは精神的な暴力だっ!!
俺達の一時間以上の戦いを一瞬で粉々に砕きやがったっ!!
書面の内容は、要約すれば懇親会をナナシと出席したければ、
向こう一ヶ月シーナへの出張を命じるというものだった。
ご丁寧に飲みにすら行けない程の過密スケジュールの上、
資金調達のノルマまでも課せられている。
しかも壁外調査一回分の資金調達ノルマだ。
エルヴィンじゃあるまいし、無理に決まっている。
だから我らが団長様は『ナナシと婚約者として出席する?
調子こいてんじゃねぇぞ。そんなに言うんだったら、
資金稼いでこいや。そうしたら今回は認めてやるよ
・・・出来ればの話だけどね(笑)』と仰っているのだ。
これは酷いパワハラだが仮にこれを無視した場合、
もっと恐ろしい結末が待っているのを二人はわかっていたので
頷くしか道は無かった。
今回仕掛けたミケも、口や裏工作でエルヴィンには
勝てないだろうと思っていたが、
ここまであからさまな嫌がらせを仕向けてくるとは思わず、
自分の浅慮を少し後悔する。
一人勝ちしたエルヴィンは、老若男女が見惚れる笑顔で
兵舎へと帰って行った。