過去と、今と、未来の狭間で【進撃の巨人 エルヴィン 前編】
第49章 男たちの戦い
火花が散りそうな程の舌戦を聞いていたナナシは、
何故二人が自分を女装させてまで連れて行きたいと言っているのか
やっと理解する。
要するに見合い話を蹴りたくて、顔の知られていない
ナナシを連れて行きたいのだろう。
そういう話なら納得がいくが、残念ながら
それを受けられない事情があった。
「すまんが、婚約者の振りは先約があって出来ぬ。
諦めてくれ二人共」
「・・・・・・・・・・・・今何て?」
「・・・・・・・・・・・・何だと?」
動きを止めてナナシを凝視する二人に事情を説明することにした。
「実は先程ミケに婚約者の振りをしてくれと頼まれたのだ。
最初は断ったのだが、ミケがどうしてもと言うので了承してしまった」
―――ミケェェェェェェェェェっ!!!
何が見守っていたい、だ!
何が自分から口説かない、だっ!!
思いっきり口説いてんじゃねぇか、クソ野郎!!
珍しくエルヴィンとリヴァイの考えがシンクロして、
敵意がミケへと向かう。