過去と、今と、未来の狭間で【進撃の巨人 エルヴィン 前編】
第49章 男たちの戦い
女性兵士から解放されたのはあれから大分経った時刻だった。
一人一人に似合う色を提案し、
化粧品の選び方や道具の使い方を事細かに指南していたら、
いつの間にか昼食の時間を過ぎていたのだ。
いつもより遅めの昼食を取っていると、
ミケがコーヒーを持って向かいの席に座った。
どうやら彼はもう昼食を済ませたようだ。
「今日は随分昼食が遅いんだな。
・・・エルヴィンが不機嫌そうだった」
ガキかっ!?
いつも一緒に食事を取れるとは限らんだろうに。
「あいつは、おまえがここに来る前まで食事を疎かにしていた。
食事の時間になっても食堂に現れる事の方が稀だった。
だから、俺やリヴァイ達が食事を運んで食わせていた」
「お主らが過保護にするから胡座をかいておるのだ」
「それもあるかもしれないな」
フッとミケが優しく笑う。
ミケはあまり表情を変えないが、
時折見せる表情は意外と柔らかいものが多い。
彼は外見に似合わず優しい気質の持ち主なのだ。