過去と、今と、未来の狭間で【進撃の巨人 エルヴィン 前編】
第48章 秘められていた想い
一方、話を聞いていたリヴァイとミケは、
エルヴィンの奇行にやや引いていた。
これだっ!
自分達はこのエルヴィンの奇行に気後れしたせいで、
今まで自分の気持ちに蓋をしてしまっていたのだ。
確かに自分達はナナシに惚れているとは言ったが、
あそこまでの奇行には絶対走れないだろう。
しかも面と向かって「殺しに行くところだった」と言うか?普通・・・。
まぁリヴァイでも言うかもしれないけれど・・・。
でも、何だろう・・・。
普段のエルヴィンと、ナナシを前にしたエルヴィンとでは
性格破綻の種類が違う気がしてならない。
団長としてのエルヴィンは、人間性を捨て、
仲間の命さえ切り捨てる冷血漢だが
ナナシを前にしたエルヴィンは自身のプライドを破り捨てた上、
灰になるまで燃やしているように感じる。
要は、灰になってもその粉を往生際悪く
相手に振り掛けている傍迷惑な人間だという事だ。
自分達はエルヴィン程プライドを捨ててナナシを口説けないだろう。
・・・これが覚悟の差というものか?
待て!落ち着け!冷静になれ!
こんな心持ちではエルヴィンの思う壺だ!
奴の奇行に惑わされるな!
二人の葛藤を尻目にエルヴィンとナナシの言い合いは、
夜遅くまで続いた。