過去と、今と、未来の狭間で【進撃の巨人 エルヴィン 前編】
第48章 秘められていた想い
強く握られ痛みを感じる中見上げると、
険しい顔をしたミケがリヴァイを睨みつけていた。
「ミケ・・・何しやがる。邪魔すんな」
「合意じゃないんだろ?やめておけ」
ミケは乱暴にリヴァイの腕を離すと、
浴槽に沈んでいるナナシの身体を持ち上げ、
タオルで包んだ。
正直、全身濡れたナナシは目の毒でしかない。
やっと鎮まった欲望がまた暴れ出しそうだ。
「おまえは早く部屋に行って着替えろ。風邪を引く」
「あ、あぁ・・・ありがとう、ミケ」
ミケの言う通り、ナナシは足早に風呂場を去って行った。
リヴァイがその後姿に舌打ちして、
浴槽から出るとミケから「待て」と制止の声を掛けられる。
「本気で抱く気だったのか?リヴァイ」
「あぁ、悪いか?ミケには関係ねぇだろ」
「・・・・・・・・・・・」
ミケはリヴァイに何も言わなかった。
黙り込んだミケを不思議に思ったものの、
邪魔をされて機嫌が悪かったリヴァイは声を掛けず
脱衣所に向かう。
騒ぎを聞いたエルヴィンから呼び出しを食らうだろうな、と
考えながらリヴァイは着替えを始めた。
―――その夜、案の定二人はエルヴィンから呼び出しを受けた。