過去と、今と、未来の狭間で【進撃の巨人 エルヴィン 前編】
第48章 秘められていた想い
シャワールームを出た後、
ナナシは気配を探り風呂場へ向かった。
カラカラピシャンッ!と派手な音を立てながら、
風呂場へ足を踏み入れたナナシを入浴中の兵士達は
一斉にギョッとした顔で見た。
ここは男湯なのに、一見女に見えるナナシが現れたので
兵士達は慌てて股間をタオルで隠す。
「おい、こんな所で何してやがる」
腰にタオルを巻いたリヴァイが怪訝そうな顔で尋ねてきたので、
ナナシは彼に「お主に用があった」と正面から向き合った。
別にこんな風呂場じゃなくても良いだろうに、と
思っていたリヴァイを余所に、ナナシは容赦無く
リヴァイの腰にあったタオルを勢い良く奪い取った。
突然何の脈絡もなく全裸にされたリヴァイは眉間に深い皺を作り、
ナナシを睨む。
「・・・てめぇは痴女か?」
「痴女ではない。お主の裸に用があったのだ」
どんな用事があるというのだ、とリヴァイは殺気立つ。
尋常ではないリヴァイの殺気に恐れをなした兵士達は、
そそくさと風呂場を後にし、残ったのはリヴァイとナナシだけだった。