過去と、今と、未来の狭間で【進撃の巨人 エルヴィン 前編】
第46章 変態が絡む理由
「・・・うちのゴロツキ(仮名)が、
『手っ取り早く稼ぐには夜の酒場が一番』と言っていたのは、
そういう裏事情があったからなのか。
あやつも説明不足で困るな・・・」
「・・・・・・私はそれをナナシに教えたというゴロツキ君(仮名)が
憎いよ」
「おい、ゴロツキが悪いんじゃねぇ。理解力の無かったナナシが悪い」
エルヴィンが遠い目をしながら、ゴロツキについて言及すると、
元ゴロツキであるリヴァイがそれに眉を寄せる。
「そういう裏稼業の酒場の存在まで考えていなかったが、
色仕掛けが有効なのはよく理解しておるぞ?」
ナナシとて情報を得る為に色仕掛けをしない訳ではないので、
そんな可哀想なものを見る目を向けられるのが耐えられず
反論すると、またエルヴィンに食いつかれた。
「よく理解している・・・というのは君が実践済みだから、
と捉えて良いという事かい?」
「・・・それに答える気は無い」
いい加減面倒になって匙を投げたものの
「代金は建て替えておくから、夜私の部屋へおいで。
稼がせてあげよう」とエルヴィンに良い笑顔で言われたので、
ナナシは漸くそこで自分の失言に気づいたのだった。
―――後日、ナナシが職人顔負けのお手製テーブルを
エルヴィンに贈ってやると、大変喜ばれたが同時に
がっかりした表情を向けられた為、
「絶対夜に彼の私室に近づかない!」と心に決めた。