過去と、今と、未来の狭間で【進撃の巨人 エルヴィン 前編】
第45章 恋愛相談と恋愛観
「あくまで私の『恋愛感情』というものが取り戻せるというだけで、
お主の気持ちに頷くとは限らん。・・・どちらにしろ私は、
半年したら実家へ帰るつもりだし・・・」
「実家へ帰ったら、また私の所へ戻ってくれば良い。
私が君の実家へ挨拶に行っても構わないんだが・・・」
「どちらも出来んな」
そうバッサリ言い捨てたにも関わらず、
ナナシが手をぎゅっと握ってきたので、
エルヴィンは少し驚く。
「手が・・・寒い」
苦しい言い訳をしながら、
手を握ってきてくれたナナシの気持ちが嬉しくて、
エルヴィンもナナシの手を優しく握り返した。
そして、心の片隅で考える。
―――全ては『心臓』を手に入れられるか、なのだ。
ナナシの愛情も、能力も手に入れるには彼の愛する男の
『心臓』が鍵となる。
嫉妬心が湧くが、何としても手に入れなければならないと
エルヴィンは再認識した。
ナナシは基本嘘を言わないから、今話したことは本当の事だろう。
小さくて冷たい手を愛おしく思いながら、
執務室へ歩を進めた。