過去と、今と、未来の狭間で【進撃の巨人 エルヴィン 前編】
第45章 恋愛相談と恋愛観
「私の気持ちは存在しない。存在する必要も無い。
互いが不幸になるとわかりきっているのに
手を出そうとする方が愚かだ」
一瞬、エルドはナナシが何を言っているのかわからなかった。
何故不幸になると決めつけているのか、
何故そこに自分の気持ちが存在しないと言い切れるのか・・・。
「それにどう足掻いても、私はBとは共に居れぬから・・・
根気強く、Bに諦めてもらう他無いのだろうな」
うんうん、と一人で勝手に納得してしまったナナシを、
エルドは呆然と見つめた。
「色々と参考になった。感謝するぞエルド。
私はやはり普通では無いから、誰かの気持ちに答えるのは
不可能だという事が理解出来た」
「違うでしょ!あなたは考えることを放棄しているだけです!
では団長の気持ちはどうなるんですかっ!?
あなたは一方的に団長の気持ちを切り捨てるんですかっ!?」
エルドはナナシの肩を掴んで揺さぶりながら、声を荒らげた。
何故ここまで恋愛に消極的なのか理解できない。
調査兵団に身を置いているから、いつでも死ぬ覚悟は出来ているが、
エルドはここまで全てを諦めて生きることなど出来ない。
最初から全ての幸せを諦めて、相手にもそれを敷いるやり方に
納得出来るはずもない。
そこで、ふとエルドは思った。
もしかして、団長はナナシのこの考え方に気づいていて、
だから『根気強く待つ』とリヴァイ班に語ったのではないのか?と。
思考に耽って固まったままのエルドに
ナナシは困惑気な表情をしながら、ポツリと零した。