過去と、今と、未来の狭間で【進撃の巨人 エルヴィン 前編】
第44章 変態と鈍感
何だ?と一同が視線を向けると、
そこには薄汚れて少しボロボロになったハンジが
頭を抱えて立っていた。
「痛ってぇー・・・。何なのあの優男。
絶対只者じゃない・・・・」
優男・・・?
エルヴィン達は首を傾げたが、
誰の事を指しているのか理解したナナバが
咄嗟にフォローを入れる。
ここでナナシに縁者を拉致しようとしていた事がバレては大変なので、
何とか誤魔化すように言葉を選んだ。
「ハンジ、ナンパに失敗しちゃったの?意気揚々と追い掛けたのに、
その様子じゃ振られちゃったんだね」
「何の話だ?ナナバ」
事情が全く飲み込めないとミケが尋ねると、
ナナバはエルヴィンに一瞬目配せを行った。
「うん、実はね。買い物してたらナナシのー・・・
あれは家族なのかな?の、イケメンが現れて、
ハンジが一目惚れして追い掛けたみたいんだけど、
振られちゃったみたい」
ナナバの言葉でエルヴィン、リヴァイ、ミケは
大体の事情を把握する。
ナナシの身内が現れたので、ハンジが追跡して拘束しようとしたが、
失敗に終わった・・・という事らしい。
しかもハンジの様子からして相当強かった事が伺える。
チラリとナナシを盗み見ると、
彼は思案顔になった後ハンジに問い掛けた。