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過去と、今と、未来の狭間で【進撃の巨人 エルヴィン 前編】

第41章 秘密の共有と隠し事






戦術や技について教えろという事は、
それについては知らないという事で、
それならばやはりただのハッタリではないのか?と身構える。


知らず顔にそんな気持ちが出ていたのだろう・・・
エルヴィンは苦笑すると


「団長の名前はソロモン団長・・・で合っているよね?」


と、いきなり核心を衝く名前を出してきたので、
ナナシは大きく目を見開いた。


「何で・・・?
公式文書にも人間の記憶からも消えているというのに・・・・」

「私もその人柄を多く知る訳じゃないんだ。
少し・・・伝え聞いたようなものでね。
でも、その最期は知っているよ」


最期・・・・・。
嫌な記憶が呼び起こされ、呼吸が荒くなった。
すると、エルヴィンの手が口に被さり背中を擦られる。


「落ち着いてゆっくり呼吸しないと過呼吸になってしまうよ。
辛い記憶は思い出さなくて良い。私も言わないから・・・」

気遣いに満ちた声を掛けられ、ナナシは呼吸を正常に戻すと
エルヴィンへ向き直った。


「いや、お主の知っているその最期とやらを・・・
私に教えてくれ」


エルヴィンが本当に『迅鬼狼』について知っているのかどうか
確かめる必要がある。

ソロモンの名前だけでは信じられない。
そんな思いで問うとエルヴィンは一呼吸置いた後
「斬首刑にあった」と告げた。


「最期に代行の名前を呼んで亡くなったそうだ・・・」

「・・・・・・・・・・・・そのようだな」


ここまで詳細知っていれば、疑う余地は無いだろう。
『迅鬼狼』に関する情報は如何なる記録にも残っていない。

文字通り抹消されたのだ。

だからエルヴィンでなくとも誰かが『狼』の存在を
知っているというのは驚き以外の何者でもなかった。





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