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過去と、今と、未来の狭間で【進撃の巨人 エルヴィン 前編】

第40章 どっちもどっち






服の下に隠れていて気づかれていないと思っていたのに
何という目敏さだ。

ナナシも久々の実戦(壁外調査)が近いので、
身体を鍛え直そうと思って作ったのに、
それをリヴァイに奪われては大変だ。




何が一番大変かって・・・・・・・・・・リヴァイの身体が。



ナナシは人間では無いので人間であるリヴァイとは
筋力も骨密度も何もかもが違って丈夫に出来ている。

そんなナナシの腕輪を着ければリヴァイの身体が保たないのだ。


「いくら私が小柄でも関係無いぞ。
これを着ければお主の身体が保たん」


リヴァイの手を振り解き、自分の腕輪を守るように撫でると
彼は怪訝な表情でナナシを見つめた。


「そりゃあエルヴィンよりもてめぇの筋肉の方が発達してるって事か?
前々から思ってたんだが、てめぇは本当に人間か?
エルヴィンをボコボコにして、ミケとの腕相撲には圧勝、
その上ハンデを負いながらハンジ達との対人格闘でも
あっさり勝ちやがって、それで人間だと抜かす方が
どうかしていると思うが?その強さは最早化け物の領域だぜ」

「・・・・・・・・・・・・」


リヴァイの言う事は尤もだ。

ナナシが化け物なのも、それをあまり彼らに隠さず
力を行使していた事も事実だ。







だけど・・・・






「他の人間と同じ事を言われるとは思わなかった・・・・」





かつて『迅鬼狼』の面々もソロモンも、
守っていた人間から「化け物」と罵られ殺されていった。

その光景がフラッシュバックで蘇り、
ナナシは全身から熱という熱が冷めていく感覚を覚える。



変革を求める『調査兵団』でなら・・・。



・・・いや幹部達になら多少の力を見せても

他の人間達のような眼で自分を「化け物」と罵らないと
どこかで期待していたのに酷く裏切られた気分になった。

しかもそれが一番化け物染みているリヴァイからとなると、
余計にその思いが強くなる。

以前リヴァイが自分を『化け物』呼ばわりした時も、
自分がそれを引き合いに出して茶化した時も
こんなに傷つきはしなかったのに、
何故か今日は傷ついてしまった。





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