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過去と、今と、未来の狭間で【進撃の巨人 エルヴィン 前編】

第39章 護剣術と護身術







そう言い掛けた瞬間、
エルヴィンは身体が強制的に内側へ折れる感覚を感じ、
身体に力を込め踏みとどまった。


ギシギシと全身が軋み、常に全筋力を働かせていないと
無様なポーズを取ってしまいそうで冷や汗をかいていると、
ナナシが「な?ハードだろ?」と可愛らしく小首を傾げながら笑った。


あぁ、今そんな可愛らしい笑顔を見たくなかったよ・・・と
心の中でツッコむが、口に出す余裕が無い。


「それを装着している時は、常に身体に力を込めておかないと
身動き出来なくなるから気をつけろ」


どこぞのスポ根も裸足で逃げ出すほどの
超強力筋力養成ギプスである。

それを嵌めた状態でいつものポーカーフェイスが出来るまでに
ならなければ次の段階には進めないな、と脳内で予定を組んだ。



因みに寝る際、外しても良いと言ったのは
適度に休息を取らねば身体を壊してしまうだけだからだ。


「取り敢えず、今日の実技訓練は終了だ。
それを着けていれば常に訓練している時と変わらんし・・・って
大丈夫か?顔色が悪いぞ」

「・・・・・ナ、ナナシ。これでは書類仕事も出来ないんだが・・・」


プルプルと震えながら訴えるエルヴィンを観察したナナシは
「確かにちょっと強くしすぎたかも」と反省する。


段階的に締め付けを強化していこうと腕輪を調整し直すと、
エルヴィンは先程より余裕が生まれたらしく、安堵の息を吐いた。


が、常に筋トレをやっている状態なので、
顔は強張り身体も直立不動のまま動けないようだ。

下手に動いてうっかり力抜いてしまったらバランス崩して転ぶ・・・
という想定が出来ているだけ凄いと思うが、
『迅鬼狼』以外の人間がこの方法を使うと
慣れるのに相当時間が掛かりそうだとナナシは再計算を行う。


「まずは、そのまま歩く練習でもするか」

「そうしてもらえると有り難い」

普通に歩くことも儘ならないエルヴィンを突き放すのも可哀想だったので、
それから夕方まで普通に歩かせる訓練を行った。






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