過去と、今と、未来の狭間で【進撃の巨人 エルヴィン 前編】
第37章 腕相撲
二人で団長室へと行くと、
そこに揃っていた幹部達がとても怪訝な顔をして
出迎えてくれたのが不思議で首を傾げる。
ハンジが「何で手を繋いでいるの?」とニヤニヤしながら尋ねてきて、
漸く手を繋ぎっ放しだった事に気づき、ばつが悪くなった。
我ながら現金で酷い行動におずおずと手を離すと、
エルヴィンからは「残念」と言われ居た堪れなくなる。
ハンジに言い返すことも出来ず、
部屋の隅で手甲と脚甲を外していると
「え?どうしたの?ナナシ元気が無い」とハンジがおろおろし始め、
心配そうに顔を覗きこまれた。
「気にするな。先程の模擬戦で疲れただけだ」
「そ、そう?あ!さっきの模擬戦凄かったね!
どうすればあんな動きが出来るの!?
そこんとこ詳しく・・・」
「ハンジ、ナナシは疲れていると言っていただろう?
せめて椅子に座らせてやれ」
ミケがハンジのマシンガントークを遮りナナシをソファに座らせると、
執務椅子に座ったエルヴィンが「さてと・・・」と
本題に入るように声がけをする。
「模擬戦での圧勝でナナシの実力は全兵士にわかってもらえたと考えよう。
明日から変更された訓練が行われるのだが
それの確認を今から行いたいと思う」
ハンジを牽制したエルヴィンが、
ナナシから提出された訓練メニューの疑問点を尋ねると、
ナナシはスラスラとその問いに答えた。
始めは基礎能力を上げる事に力を注ぎ、
人によっては反射神経を鍛えたり、
筋肉の増強を図るメニューを熟してもらったり、
癖の矯正を行ったりする等などの旨を、
この場にいる全員に伝える。