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過去と、今と、未来の狭間で【進撃の巨人 エルヴィン 前編】

第36章 模擬戦












樹々が生い茂る訓練場で敵意ある視線を浴びせられながら、
ナナシは手甲と脚甲をカチャカチャと装着する。



今から1時間程前、
エルヴィンが兵士達にナナシの事を紹介したのだが、
案の定反発を招いた。

それなら五人と模擬戦を行おうという予定通りの流れになったのだが、
エルヴィンが余計な提案をしたせいで、
彼らにより一層火を点けてしまったのだ。








―――この模擬戦でナナシに勝てたら食事改善を約束しよう!







おい、何て事言ってくれやがったこの七三野郎!
どう転んでもエルヴィンには良い事しか無いじゃないか!



ナナシが勝つ→有無を云わさず兵士達の強化、
場合によっては食事改善をしなくて済む.


ナナシが負ける→エルヴィンの手元にナナシを置いておける(かも)





お陰で兵士の殺気は尋常じゃないくらい跳ね上がってしまった。


しかも模擬戦相手のチョイスがまた笑えない・・・

調査兵団内では中の上くらい実力者達だが、
自尊心が高く性格に難があり
エルヴィンや幹部達も扱いに困っている連中らしい。

その上、五人の中に団長至上主義派と
兵長至上主義派が入り乱れているという
何とも言えない人選だった。

団長至上主義の二人はリヴァイが気に入らないらしく
嫉妬に似た感情を向けているし、
兵長至上主義の二人はリヴァイがいるから
エルヴィンが偉がっていられるのだと主張しているという・・・。

因みに残りの一人はミケ分隊長至上主義者らしい。



あんまり関わりたくない濃い五人をぶつけられたナナシは
遠い目をしながら、「これは絶対嫌がらせだろう」と逃げたくなったが、
そうもいかない訳で、渋々戦闘準備をしているのだ。









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