過去と、今と、未来の狭間で【進撃の巨人 エルヴィン 前編】
第35章 薬
「・・・・・・いや、意味がわからないまま飲めないよナナシ。
これは一体何だい?もしかして毒?」
表情を強張らせたエルヴィンが小瓶を凝視していると、
ナナシの背後から「とうとう毒殺に来たか~」と
ハンジの声が聞こえた。
「失礼な事を言うな、ハンジ。
私がわざわざ毒殺する為に薬を調合するとでも?
そんなまどろっこしい真似せずとも、
私なら小童如き素手で撲殺だ!」
「あ~そっかぁ。ごめんごめん」
「本気で洒落にならねぇ事言うな!」
「おまえなら実行可能なところが恐ろしい」
ハンジはおろかリヴァイもミケも否定してくれない事実に
エルヴィンは大きく溜息を吐く。
「それで、これは本当に何だ?毒じゃないのか?」
「毒ではない。薬だ」
「・・・・・・薬?」
「毒という名の薬?」とハンジが茶化すので、
睨みつけて黙らせる。
「お主のその・・・・・何というか・・・
私に異常執着するやつを抑える薬だ」
それを聞くとエルヴィンは目を丸くし、
小瓶を繁々と見つめた。