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過去と、今と、未来の狭間で【進撃の巨人 エルヴィン 前編】

第35章 薬







次の日、
データを纏めたナナシは書類の束を抱えて
エルヴィンの執務室へと訪れた。


夕方になってしまったのでエルヴィンの他にも
リヴァイやミケ、ハンジもいて、ナナシの作った書類を
興味深そうに覗いている。


「君の作成した資料は大変素晴らしいものだ。
個人の長所短所、特性もそうだが、能力値が図に書いてあるのが
わかりやすいね」


満足そうに言ったエルヴィンは「だが・・・」と続ける。


「一人につき10枚以上のレポートになるとは予想していなかったよ・・・。
全部に目を通すだけでも骨が折れそうだ」


がっくり項垂れたエルヴィンの机や周囲には、
ナナシが作成した書類が積み上げられていて
ウォール・ローゼならぬウォール・スミスとなってしまっていた。


「・・・それ以上簡略化は出来なかった」

「あぁ、別にナナシを責めている訳じゃないよ?
その有能さが嬉しいくらいさ。いくつか軽く書類に目を通していて
疑問に思ったことがあるんだが良いだろうか?」

「何だ?」

「・・・・・・氏名の横に備考欄があるが
・・・・その中に『黄色より白が似合う』と書かれているが、
これは何かの暗号かい?他の兵士の欄には
『ファンデーションの色はもう少し抑えた方が良い』とかあるが・・・・」

「現実逃避による産物だ。書類仕事は性に合わん」


普段は無頓着だが、潜入する際変装する事もあるので、
ナナシはオシャレが気になる質だった。

それで何となく観察ノートにもオシャレチェックを記し
・・・悪戯心で提出した書類にもそれを書いた。

ウォール・スミスを作り上げるだけの書類仕事を
この4日間で成し遂げたのだから大目に見て欲しいと目で訴えると、
エルヴィンは穏やかな笑顔で


「可愛らしい現実逃避の仕方だね。
これは確認作業であって何度も言うようだが責めているんじゃない」


と語った。




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