過去と、今と、未来の狭間で【進撃の巨人 エルヴィン 前編】
第32章 メデューサの微笑?
あのお局様達(仮)にしたように、
手の甲にちゅっとキスを落とすナナシに
ペトラは顔を真っ赤に染めた。
えっ!?ちょっと待って!この人は女性よねっ!?
団長が愛している人よねっ!?
それなのに、私口説かれてるの!?どうして!?
あ、そうだった!この人、自分が男だと思い込んでいるんだった!
でもでも女の人なはずなのに胸のドキドキが止まらない!
色気で私の理性が・・・・っ!
「お主には何物にも染まっていない可憐な白が似合う。
どうだ?これから私色に染まってみぬか?」
そっと頬を撫でられた所で、ペトラは失神した。
がくっと崩れ落ちた身体をナナシが慌てて受け止め、
首を傾げる。
見ればオルオまでもが白目を剥いて気絶していて、
自分の笑顔は気絶する程恐いのか・・・とがっくり肩を落とした。
ソロモンに
「他人(特に男)には絶対笑いかけてはいけませんよ!」と
言われていたが、もう数十年経っていたので
自然体で笑えるようになっていると考えていただけにショックだった。
実際は「色気に当てられて失神してしまうので笑いかけてはいけません」
という意味だったが、そういう事に疎いナナシは
真意に気づくことなく、
「笑顔が恐すぎて、恐怖の余り相手が失神してしまう」と
ずっと勘違いをしたまま今日まで生きてきた。
気絶している二人を医務室まで運びたいが、
一人で二人を抱えるのはきついだろうなぁと思っていると、
たまたま通りかかったミケが「どうした?」と
声を掛けてきてくれたので、事なきを得たのだった。