過去と、今と、未来の狭間で【進撃の巨人 エルヴィン 前編】
第31章 本来の目的
ナナシが去った執務室では微妙な空気が漂っていた。
リヴァイ、ハンジ、ミケ、ナナバは
ソファに座るエルヴィンを注視しながら
彼が思考の海から戻ってくる事を待っている。
エルヴィンはと言うと、瞬きもせず一点を見つめて
何かを考え込んでいるようだった。
「ねぇ、エルヴィン。情報掴んだらナナシに教えても良いんだよね?」
ハンジが確認の為、恐る恐る声を掛けると
やっとエルヴィンが反応を示した。
「ダメだ。まずは私に情報を全部持ってくるんだ。
情報は私からナナシに伝える」
・・・それって、エルヴィンにとって都合が悪い情報は
全部握り潰すって事だよね?と、ハンジは眉をハの字にさせて思ったが、
口には出さない。
酷い事だとはわかっているが、
エルヴィンがどれだけナナシを欲しがっているか知っていたので
止める事は出来なかった。