過去と、今と、未来の狭間で【進撃の巨人 エルヴィン 前編】
第30章 血を吸う
「今までの行いが悪かったんだろうな・・・」
「自業自得だ、アホくさい」
持って来た夕食を咀嚼しながらミケとリヴァイが切り捨てると、
ハンジは首を捻った。
「何でエルヴィンはナナシの正気を取り戻そうとしたの?
別にうちらはそのまま見ていても良かったのに」
理性が飛んでる間に既成事実作っちゃえば良かったじゃん、
と言ってるように聞こえ、エルヴィンはそっと目を逸らす。
痛いところを突いてくるハンジに、
今回の件はきちんと話しておくべきだと判断した。
「・・・血を吸っている時の顔が・・・・・・・・ったんだ」
「え?何?」
「エロかったんだ・・・激しく。
誰にも見せてはいけないと思う程にヤバかった・・・・」
「・・・・・・・・・・」
鬼気迫る顔でそう言われてしまえば、
ハンジも笑うことが出来ない。
え、マジで?と、リヴァイとミケの顔にも書いてある。
そこで女の癖に変に思考が回るハンジは、
エルヴィンがずっと前屈みで腰を折っている姿勢なのに気付き納得した。
「トイレ・・・・・行ってきなよ。
今回は誰もエルヴィンを責められない気がする」
不可抗力だと告げると、
エルヴィンは無言でトイレに向かった。
その後姿を3人は不憫そうに見守り、
ナナシだけは「トイレ我慢していたのか・・・申し訳なかった」と
ズレた事を考えていた。