過去と、今と、未来の狭間で【進撃の巨人 エルヴィン 前編】
第30章 血を吸う
―――おかしい・・・・。
今日1日を振り返ってナナシは首を傾げた。
データ採集の為、付き合ってくれたリヴァイ班の様子が
明らかに昨日とは違ったのだ。
まるで、ナナシを女のように扱い・・・
果ては、やたらとエルヴィンを褒め称えるような事を言ってきて、
ナナシはどう反応して良いかわからなかった。
悶々としながら、目の前で書類仕事をするエルヴィンを睨んでみたが、
当の本人からは満面の笑みを返されるのみだ。
また昨日のように夕食を誘いに来られても面倒なので、
今日は自分からエルヴィンの執務室に来たのだが、
先程からお互い書類仕事ばかりしていて会話らしいものはない。
エルヴィンには兵団の書類仕事、
ナナシにはデータを纏める仕事がある。
・・・・もっと言えば、より強くなるための訓練変更も
作っているのだが、それは脇に置いておく。
少しするとエルヴィンの動いていた手が止まった。
今日の仕事は一段落したらしく、
書類の束を隅に置いてナナシに笑顔を向ける。
「そういえば、血の摂取は良いのかい?」