過去と、今と、未来の狭間で【進撃の巨人 エルヴィン 前編】
第28章 新兵の料理
「わかった。予算申請するのに意見書を書いてくれ。
どんな食材、調味料が人間の身体に良いか、
栄養の摂取について重要かを説いて提出してほしい。
それが無ければ予算をもぎ取れないだろう」
食事関係はエルヴィンの専門外なので、
どのように予算をもぎ取ってくれば良いか考えるのが面倒だった。
そこまで言うなら意見書や報告書を提出して欲しいと、
意地悪な事を言ってみる。
案の定、ナナバやハンジは心底嫌そうな顔を向けてきた。
ナナシは無表情ながら何かを考えているようだったが、
説明力皆無な彼にとって意見書などを書くのは難しいだろう。
「大人気ないな~エルヴィンは」
「エルヴィンだって食事を改善したいとか思わないの?」
ナナバとハンジの抗議にエルヴィンは笑顔で
「別に?」と答える。
エルヴィンはどんな粗食であろうと我慢出来るのだ。
そこが調査兵団の食事改善に繋がらない理由の一つでもあるが、
兵士達にとっては堪ったものではない。
「この守銭奴!鬼!」
「何とでも言うがいいさ。予算を割く余裕が兵団にはない」
ハンジとエルヴィンのやり取りを黙って聞いていたナナシだったが、
徐ろに席を立つと「一時間だけ待て」と言い残し、
部屋から出て行ってしまった。
4人は首を傾げたものの、
ナナシが何を考えているかなどわからない。
怪訝な表情をしていると、
ノック音がしてリヴァイが団長室に入ってきた。