過去と、今と、未来の狭間で【進撃の巨人 エルヴィン 前編】
第26章 エッカルト・アーデルハイトの日記1
エッカルト・アーデルハイトの日記1
○月×日
今日から俺の新しい人生が始まる。
家族に内緒で『狼』に入ると決めて会場に来てみたら
意外と俺ぐらいのガキが多くて安心した。
『狼』はちゃんと国に認定されていないが、
巨人を倒すことに特化した組織で、憲兵なんかよりも強いと巷では評判だ。
国からは許可を得て壁外遠征にも行ってるし、
正規の兵団として認められるのも時間の問題とされている。
そんな最強と言われている組織に入るのには緊張するが、
人類の為に強くなって俺は巨人を駆逐してみせるぞ!
ただ、この組織には主に戦闘する『第一部隊』と、
それ以外で構成される『第二部隊』があるらしく、
『第一部隊』に入るのは難しいとの噂だ。
頑張るぞ!
・・・受付に言ってみたら俺好みの女の子がいて
テンションが上がった。
あの子も団員だろうか?
○月△日
入団して数日、訓練がヘビー過ぎる。
こんなんで『第一部隊』に入れるのだろうか?と
早くも弱音を吐きそうになるが、ここで挫ける訳にはいかない!
そういえば先輩達に「受付の女の子は誰か」と聞いたら、
とても微妙な顔をされ「やめとけ」と言われた。
○月◇日
今日は団長による演技が見せてもらえた。
狼の団長はすっげーかっこいい!
金髪碧眼の美丈夫ってだけで嫌味なのに
凄まじく強いってどういう事だ!?
一振りに見えた斬撃が張り子を粉々にしてしまった。
周りの新兵が興奮気味に
「どういう技なんですか?自分にも出来ますか?」と
質問すると、団長は柔らかい笑みを浮かべながら
「君達が覚悟を持って修練すれば出来るようになりますよ」と
言ってくれた。
団長が笑った瞬間、
メスガキやら先輩の女性団員が黄色い声を上げた。
完璧過ぎると嫉妬さえ起きないものだと素直に思ってしまうほど、
団長は完璧だ!
団長の隣に例の受付の女の子がいた。
先輩にまた「あれは誰か」と尋ねてみたら
「副長だ、変な気は起こすな。死ぬぞ」と言われた。
つーか、あれ副長なんだ!?マジで!?
驚きつつ「どういう意味ですか?」と再度尋ねてみるも、
目を逸らされて終わった。
意味がわからない。