過去と、今と、未来の狭間で【進撃の巨人 エルヴィン 前編】
第25章 腹の探り合い
「・・・最後の条件って思いっきりピンポイントで個人に宛ててるよね?」
「あぁ、現場を見ている以上否定出来ない」
「ミケ、おまえもか。俺も偶然その現場に居合わせた事がある」
「・・・・そうか、それなら(条件に出されても)仕方ない」
「エルヴィンの自業自得って事だね」
ハンジ、ミケ、リヴァイの言葉を聞いて
最後にズバッと切り捨てたのはナナバだった。
彼女は外見に似合わず、非情なところがある。
四人の会話を無視するような形でエルヴィンは
疑問点をぶつけることにした。
「『捜し物』とは何だ?どう協力すれば良い?」
「何を探しているかなどは、お主が条件を呑んでから教える」
「話にならないな。それでは呑めるものも呑めない」
「ならば、呑まなければ良い」
「・・・・・・・・・・・」
ナナシとしてはエルヴィンが自分を雇おうがやめようがどうでも良い。
ただ雇われるなら自分にとって有利な条件を受け入れさせたかった。
交渉術はエルヴィンの十八番だろうが、
必死な彼とどうでも良い自分とでは精神的な余裕が大分違う。
まんまとエルヴィンよりも優位な立場に立ったナナシは
無理な条件を提示してやったのだ。
ナナシとしてはエルヴィンの持つ貴族のコネクションを活用したいが、
少しでも気を抜けばこちらが足元を見られてしまうだろう。