過去と、今と、未来の狭間で【進撃の巨人 エルヴィン 前編】
第22章 勝負!
「お主には私の能力を教えていたはずだ。
私の血液を付着させたものを媒体にして相手を操る、とな」
「・・・もうその能力は使えないと、言っていたのは嘘か?」
「嘘ではない。他人に対してはもう使えぬのは事実だ」
「他人・・・?」
「私の中には私の血が流れておる。
今はそれを操って身体を動かしておるのだ。
お主の使った薬は私の体内でその役目を果たしているぞ」
「・・・成程、私は君の力を侮っていたようだ」
「そうだな。・・・さて、降参しろ。
今ならこれ以上痛い目を見ずに済むぞ」
「それは出来ない」
エルヴィンの返事を聞くと、
ナナシは容赦なくエルヴィンの両腕の関節を外した。
痛みに顔を顰めながらも、呻き声を上げないエルヴィンに
ナナシは冷たい視線を投げる。
「これでお主は立ち上がる事さえ出来ぬ。どうする?」
汚い手まで使っておいて降参するなど、
プライドが許すはずなかった。
ここで負けを認めてしまえば、
永遠にナナシを手に入れることが出来ないと直感が告げる。
「・・・出来ないな。私の口から降参が出る事はありえない」
「ふぅーん・・・・」
ナナシは動けず地面に横たわる巨体に跨り、唇を歪めた。
「私はお主に嫌な事ばかりされて機嫌が悪くてな・・・。
気絶するまで嬲ってやるぞ」