過去と、今と、未来の狭間で【進撃の巨人 エルヴィン 前編】
第22章 勝負!
エルヴィンは地面に手を付くナナシの首筋に
手刀を当てようと構えた。
だが、その瞬間動けないはずのナナシがエルヴィンの腕を掴み、
その巨体を思い切り地面に叩きつけた。
叩きつけられたエルヴィンは一瞬衝撃で意識を飛ばしそうになったが、
何とか持ち堪えすぐに身体を起こそうと力を込めたものの
寝技に持ち込まれ身動きが取れなかった。
ギリギリと腕を締め付けるナナシに無理な体勢で攻撃を繰り出すと、
今度は足を掴まれ関節をきめられる。
「過信から来る敗北を味わうのはお主だったようだな!」
そう言った瞬間、ゴキっという鈍い音が鳴った。
左足の関節を外されたエルヴィンはグッと歯を食いしばり、
痛みに耐える。
「何故・・・っ!?薬が・・・」
「あぁバッチリ効いておるぞ」
ナナシは次にエルヴィンの右足の関節を外した。
完璧に両足の動きを封じられたエルヴィンは、
荒い息を吐きながら自分を見下ろしてくるナナシに視線をやった。
今まで見たこともない凶悪な笑みを浮かべたナナシに、
ひやりと冷たい汗が流れる。