過去と、今と、未来の狭間で【進撃の巨人 エルヴィン 前編】
第4章 自分にとって匂いは世界そのものだ
金髪碧眼の少年を撒いたナナシは
領主の館がよく見える丘に辿り着いた。
丘から屋敷までかなりの距離があるが、
妖であるナナシとっては然程問題にはならず、
じっと邸内の様子を観察する。
意外に大きな邸宅と厳重な警備に眉を寄せながら、
暫くは邸内へ出入りする人数や警備の交代時間などの情報を収集した方が良いだろうと結論を出した。
一週間あれば把握出来ると当たりをつけたナナシは、
そこから張り込みを続けた。