過去と、今と、未来の狭間で【進撃の巨人 エルヴィン 前編】
第21章 口説く!
「お主よりまともで、強い男だった」
「外見は?」
「金髪碧眼の美丈夫だが、何か問題でも?」
睨むように言われエルヴィンは、
どうしたものかと考えを巡らせる。
この話題ではもう乱せそうにないか、と思ったが、
彼にとって一番聞かれたくないだろう質問をすることにした。
「その人は何で亡くなったんだい?」
「・・・・・・・・・・」
我ながら意地の悪い質問だったと思う。
案の定ナナシの目の色が変わり、顔に表情が乗った。
また「おまえには関係ない」とか「話す必要は無い」と
返されるだろうが、そうなってくれた方が都合が良いと
エルヴィンは次の算段をする。
しかし、予想に反して明解な答えが返ってきた。
「殺された、謂れのない罪で」
「え・・・?」
「先程のお主の問いに答えてやろう。
どういう経緯で・・・だったな」
「・・・あ、あぁ」
「その人が私の全てで、世界そのものだった。
彼は人類の為に戦っていたけれど、結局人類に裏切られて殺された。
彼がいない世界など私には何の価値もなく、どうでも良い。
むしろ、彼を裏切った人類などいっそ滅んでしまえば良いと思っている。
だから、もう戦わない・・・以上だ」