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過去と、今と、未来の狭間で【進撃の巨人 エルヴィン 前編】

第19章 ナナシの能力






「もしかして、あの地下室の老人も同じ能力が?
書物の文字を消したり、石の壁をどかしたり出来たのも・・・」

「同じ・・・という訳ではないが、そうなるな。
あの地下室全体に血を仕込んでいたのだろう。
あやつは器用だったから・・・」



凄いじゃないか!

という事はナナシも、そういう事が出来るということだ。

思わぬところで消える文字の秘密を知る事が出来て、
更に興奮が増した。


欲しい、欲しい、欲しい!!


このまま目の前の小柄な身体をかっ攫って、
自分の命令だけを聞くように躾けたい。


「君の血は特別なものなんだね?」

「そうでもない。ただの・・・媒体のようなものだ」


媒介するものでも何でも良い。
ナナシがそういう能力を持っているという事実には
変わりないのだから。


「・・・だが、もうそれを使う事は出来ぬ」

「・・・・・え・・・・?」


突然言われた言葉が理解出来ずに間抜けな声を出してしまった。

嘘を吐いているのかと思ったが、
少し俯いたナナシの様子からもう使えないのは本当なのだと感じ、
その理由を尋ねる。


「何故・・・?
今も君はこうして血を付着させているじゃないか」

「一応、いつでも使えるように準備は進めているが
これは無駄になるかもしれん」

「待ってくれ。使えない理由を話してくれないか?」


エルヴィンは希望が打ち砕かれたような面持ちで
ナナシの肩を掴んだ。




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