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過去と、今と、未来の狭間で【進撃の巨人 エルヴィン 前編】

第18章 『迅鬼狼』のアジト





「・・・紙は同じようだな。
インクが微妙に赤い気がするが・・・」

「インク?」

「え?マジ?」


覗き込むように三人は文字のインクに目をやったが、
暗い地下室では色の判別がつかない。

うーん・・・と唸っているとミケとナナシがやってきて、
怪訝な表情で3人を見つめた。


「・・・・何してるんだ?」

「あぁ、ミケ、ナナシ、お疲れ様~。物資はどう?」

「ネスが全部持っていった。リヴァイは見張りで外にいる。
・・・で、何してるんだ?」


ミケの問いにナナバが「実はね・・・」と話し始める。

違いって何かな?という彼女達に、ミケはナナシに顔を向け
「知っているか?」と直球に尋ねた。


いや、隠し事の多いナナシが答えてくれるはずないじゃないか、
と思っていると予想に反して彼はすらすら答えた。


「情報漏洩を防ぐためにエッカルトの血が混じったインクが使用されておる。
それで書かれたものは読めなくする事が可能だ」

「え?そ、それ、もうちょっと詳しく・・・・」


ハンジが身を乗り出してナナシに聞いたが、
彼は首を捻り「詳しくと言われても・・・」と言い淀んだ。

そこでエルヴィンは「あぁ」と思う。
そうだ、ナナシには説明能力が無いんだった・・・と。


「ハンジ、取り敢えず消える文字の謎は彼が知っているという事実を知った。
後で詳しく聞く事にして今はこの書物の暗記に力を注ぐべきだ」


頭を切り替えたエルヴィンがそう告げると、
ハンジは眉をハの字にさせながら「わかった」と渋々従う。

彼女としては気になった事象をその場で解きたいのだろうが、
今は時間が無い。

ナナバとミケにも手伝うように言うと、
ミケは「本を読むのは苦手なんだが・・・」と渋い顔をしながら
本を手に取り、ナナシは部屋の片隅に座り込んで
何かを考えているようだった。




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