過去と、今と、未来の狭間で【進撃の巨人 エルヴィン 前編】
第15章 合流
「ナナバ、すまないが暫くこの子に着いててやって欲しい。
彼の命がけの行動のお陰で我々の命が救われた。
彼が目を覚ましたら何か食べさせろ」
「わかったよ、エルヴィン。私はこの子を守れば良いんだね?」
にこりと穏やかな笑みを浮かべたナナバが
彼の真意を汲み取り返事をすると、首肯したエルヴィンは
「今はあまり目立たせるな」という言葉を残して
テントから出て行った。
エルヴィンを見送ったナナバは眠っているナナシの頭を撫で
「エルヴィンに気に入られるのも大変だね」と微苦笑する。
そしてナナシの装備に目を向け、首を傾げた。
立体機動装置を着けてはいるが、黒っぽい一対の剣しか鞘に収まっておらず
刃こぼれを起こしたらどうするのだろうと疑問に思った。
なるべく軽装が良いはずなのに手甲と脚甲を装備した姿は
とてもアンバランスだ。
手甲は拳までしか無いが、
それでも立体機動を操るには少々邪魔になるだろう。
変わった出で立ちを観察して色々考えたが、
行き着いた結論は「エルヴィンが目をつけたんだから変わり者だよね」
というものだった。