過去と、今と、未来の狭間で【進撃の巨人 エルヴィン 前編】
第14章 調査兵団の危機
「残念だが、足手纏いにしかならぬ者を連れては行けぬ」
「・・・・しかしっ!」
「優先すべきは調査兵団に開閉扉の故障を伝えることだ。
個人の感情を優先させる時ではない」
「・・・・・・・・・」
悔しそうに唇を噛むモブリットには申し訳ないが、
そうとしか言い様がない。
だが、彼には彼のやるべきことがあるのだ。
ナナシは懐から紙とペンを出し、
ツラツラといくつか書き出すとそれをモブリットへ
差し出した。
「お主には壁内でやってもらいたい事がある」
「・・・何ですか?」
「この紙に書いた内容を調べておいてもらいたい。
お主の団長殿が無能で無ければ部下に調べさせるだろう内容だ。
あやつらが帰る前に調べておいた方が手っ取り早いからな」
渡された紙を読んだモブリットはその内容に驚いているようだったが、
すぐに納得したようで強く頷いた。
「あと、この事は他言してはならぬ。
駐屯兵団にも調査兵団の誰にもだ。
どこに間者が紛れておるかわからん以上、
誰にも悟られてはならない」
「わかりました。自分に出来ることをやります」
「頼む」
モブリットとはまた後で会う約束をし、
ナナシはピクシスの元へ向かった。
部下達に囲まれていたピクシスを上手く呼び出し、
事の詳細を話すと難しい顔をされたが反対はされず
協力を得られることになった。
まぁ、ここで協力が得られなければ勝手にやってしまえば良いだけの話であるが・・・。