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過去と、今と、未来の狭間で【進撃の巨人 エルヴィン 前編】

第14章 調査兵団の危機





針を首から引き抜いた時には、
冷静に物事を考えられるようにはなっていたが、
身体に纏わりつく違和感が消えず息を吐き出す。


精神不安定が頻繁になったり、
身体に不調が出始めるとメンテナンスが必要になり
施した細工が機能しなくなってしまうのだ。


異世にある家(便宜上、実家とする)に帰って、
この世界へ留まる為の対価も支払わなければならない。

メンテナンスを続ける限り、ナナシの身体は若い姿のままだが
ナナシは万能でもなければ不老不死でもない。

異世とこの世界を往復する生活がいつまで出来るかもわからない状況だった。


早く探しものを見つけなければならないという焦りが募っていたが、
今は手詰まり状態でどう行動すれば良いか迷っていた。

それで気晴らしついでにピクシスの仕事を請け負ったのだが、
まさかそこでエルヴィンと再会するとは思わず正直狼狽えたのだ。



エルヴィンは自分を覚えていた。


あの1時間にも満たない出来事を、
15年以上経っていたはずなのに昨日のことのように
目を輝かせながら近づいてきた。

狂気を孕んだその瞳を不思議と嫌いにはなれなかったが、
彼の想いに応えるつもりは無かった。

自分にそれが出来るはずもなかったのだ。

何となく彼には自分の身体も生い立ちも知ってほしくなかった。
人間とは違う自分の身体を見せた時、
彼がどんな顔をするのかそれを知るのが恐かった。


それに自分が近くにいることで、様々な歪みが生じてしまうだろう。
それに巻き込むのも嫌だったし、
話したくても話せない事情や知識も多くあるのだ。


だから、彼の前から姿を消さねばならない。
彼から向けられるものを途切れさせなければならない。

それが彼と調査兵団の為なのだ。





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