第5章 永光〜お万の君〜
瑠璃が目覚めるとすでに朝だった。
(私…昨日…///)
薬の効果が切れた瑠璃を
羞恥が一気に襲う。
でも…穏やかな顔で眠る永光の、
向こう側にあるはずの大きな鏡は
もうそこには無かった。
「…夢…?」
思わず瑠璃がつぶやくと
永光は目を開け微笑んだ。
「おはようございます。
夢か現か…この私と、
貴女の身体だけが知っていますね?
瑠璃、私は正室にはなれませんが…
貴女を悦ばせる手立ては他にも
多く知っています。
これから先、誰か他の殿方のものに
なってしまったとしても…
いつでもお声を掛けてくださいね。
これでも私は
貴女のことが大好きなのです。」
妖艶に微笑みつつも、
どこか悲しげな表情を浮かべる
永光の様子には
全く気付かない瑠璃だった。