第1章 序章
朝廷に付け入る隙を与えないためにも、
世に混乱を与えないためにも、
ちょうど影武者として収まっている私に
上様のフリを続けて欲しい
ということだった。
それはわかる。
それ以前に私には拒否権など無いし…
「あの…これまでと何か変わることが
ありますか?」
「なるべく早い時期に
お世継ぎを産んでいただく。」
そそそそ、そんな…!
「お世継ぎができ、成長の暁には…
体調を理由に早目に隠居すれば良い。」
「お世継ぎって…あの…どなたと…」
「早晩にご正室は選んでいただかなく
てはなるまいな。
だがお世継ぎ作りに関しては話は別だ。
側室相手でも何でも良い。
知っての通りこの大奥には
そなたに声をかけられるのを待っている
殿方が山のようにいるからな。」
春日局様はニヤリと笑った…