第1章 序章
「入るぞ」
人目がある場所ではあくまでも
私は上様だ。
春日局様の部屋に入る。
「瑠璃か」
「失礼します…」
向かい合って座り春日局様を見ると、
かなり沈んだ表情だ。
良くない知らせじゃないといいけど…
「瑠璃、そなたにはこれからも
上様でいていただかなくては
ならなくなった。」
「え?それはどういう…」
「実は…上様がみまかられた。」
どんな時も冷静なはずの
春日局様の表情が
一瞬だけくしゃりと歪む。
「そんな…!」
上様には一度会っただけだけど、
自信に溢れてお元気そうで…
そんなにお加減が悪かったなんて。
「それでだ…」