第15章 最終章〜sweet&sweet1〜
その頃、部屋の中では数日ぶりに
春日局と瑠璃が向かい合っていた。
「日向様からお話があったようだな。」
駿府での出来事の一切は詳細に
春日局の耳に入っていた。
「はい、お聞きしました。」
「このことはまだ極秘事項だ。
御典医である緒形と
大奥総取締のお万の君、
そして護衛頭の2人が知るのみ。
特に大奥の人間にとっては
人生を左右する一大事だが…
一月後に上様が崩御されたという
発表がなされるまで決して
気取られてはならない…わかるな?」
「はい。でも…
そのことについてお願いがあります。」
春日局には瑠璃が言いたいことが
すでにわかっていた。
そしてさらに心にも無いことを
言ってしまう…
「…そなたと懇意にしていた人間には
奥泊まりの際にでも話をすれば
よいことだ。私は関知しない。
何を驚いた顔をしている…
一月後まで貴女は上様。
当然夜伽も続く。
まさか忘れていたのではあるまいな。」